ヒトパピローマウイルス(HPV)への感染を原因として子宮がん(頸がん)は発症します。性交渉を通じてヒトパピローマウイルスは感染しますが、特に珍しいウイルスでないのは確かです。子宮がんに関する認識があまり高くない人間の中には、感染しやすい女性は性交渉の相手や回数が多いと揶揄する人もいて、発症した患者さんに深い精神的ダメージを与えることもあります。
けれど、実際には性交渉の経験を持つ女性のうち、感染経験がある方は8割にも及ぶぐらい、ウイルスとして珍しいものではないのです。人間の身体には、元々免疫機能が備わっていますから、ヒトパピローマウイルスに感染したとしても、何らかの異常を発生させる前に大半は消滅してしまい、感染したら即子宮がんを発症するとは限りません。
ウイルスの潜伏期間に関してはまだ明確に解明されていませんが、感染後10年以上経過してからがん化する恐れのある異形成が発見されるケースも報告されています。子宮がん健診などを受診し、ヒトパピローマウイルスに感染している事実を知るとショックを受け、どの相手からいつ感染したのか、大事なパートナーに感染させてしまっていないかなどが心配になり、くよくよしてしまうのが一般的な反応です。
けれど、このウイルスは性交渉の経験を持つほとんどの女性に感染経験がありますから、感染元の特定は容易にはできません。しかも、子宮がん(頸がん)は早い段階で見つけ、治療を早急に開始すれば治癒率も上がるので、その後妊娠できるケースが大半です。感染元が誰か色々苦悩する間に、病状が悪化する恐れもあります。あれこれ悩むより、完治を目指して適切な治療を優先させることが大切なのです。