ヒトパピローマウイルスというウイルスの名前は耳慣れないかも知れませんが、この皮膚などにイボを形成するウイルスは子宮がん(頚がん)の原因だと言われています。現在までに100種類程の型が発見済みですが、そのうち50種類程は皮膚型のウイルスで手足に感染します。そして残りの半数が「性器・粘膜型」と呼ばれる種類で、性交渉によって生殖器に感染します。
ヒトパピローマウイルスの中でも、尖圭コンジローマを外陰部に発生させたり、細胞組織の異形成を引き起こして子宮がんの原因になったりするのが、この粘膜型です。子宮がんを引き起こすウイルス、とご説明するとかなり特異性のあるウイルスだと思ってしまいますが、実は半数以上の女性が10代から30代前半の時期にこのウイルスに一度は感染経験を持ち、健全な女性の10%から30%は検出されると言われ、つまりウイルスとしてはありふれているのです。
大半のケースでは、感染しても自然治癒力を発揮する免疫力によってウイルスを体外に排出しますが、一部感染が長引いたうちの更に一部が異形成と呼ばれる前がん病変に進行し、組織細胞をがん化させて子宮がん(頚がん)を発症します。このように説明すると非常に恐ろしく思えてきますが、大半は子宮頸部の表面に付着しているだけで、細胞と一緒に新陳代謝や免疫力の力で、自然に剥がれ落ちていきます。
子宮がんの原因がヒトパピローマウイルスであることが判明したのは、子宮頸がんの組織の中で見つかったヒトパピローマウイルスの型が特定のタイプに絞られる事実が明るみに出たからです。
ハイリスク型と呼ばれる型が子宮頸がんを発症する型で、万が一感染すると1%から3%の割合で異形成になり、そのうち子宮頸がんを発症する確率は25%だそうです。以上のデータを参照すると、1万人の女性がいたら、そのうち発症するのは3人から7人程度ということです。